音楽談義室

音楽とか文学とか完全に趣味を語るブログ

久々に見た「となりのトトロ」

先日、文学の授業の一環で観てきた。

 

となりのトトロ

 

 最後に観たのは五歳くらいかな?正直初見ではないがほぼ初見のようなもの。全く内容を覚えていなかった。当時はトトロ可愛いくらいの感想しかなかった。そんなトトロを齢19、もうじき20になろうかという男が観てきた。

 

 まず、目を見張るのは1988年発表の映画とは思えない作画技術だろう。鮮やかな田畑の風景、大きなクスの木の青緑色した葉、そのいずれもが非常に繊細に描かれている。日本の原風景を背に無邪気に走り回るサツキとメイの姿は荒んで忘れかけてしまった童心の存在を教えてくれる。背景担当の男鹿和雄さんは「日本人ならこんな所で暮らしたいと思えるような背景にした」と語っており、宮崎駿監督も背景を高く評価している。

 

 そして何より語らなくてはならないのは、「トトロの世界観があるべき人間と自然の共存の姿」であるということだ。川底まで透き通って見える川、大きな木陰、カエルやバッタなどの鳴き声など、動植物が呼吸をし、そこで生命を育む姿が確かに刻み込まれている。今の日本はどうか。高度経済成長期によって、木は切り倒され動物達の住み家は激減した。我々は電車、自動車、飛行機など短時間で移動できる利便性を得られたが、同時に失ったものも大きいのではないか。最近川遊びはしたか?虫を追いかけて、捕まえていた頃を忘れてはいないか?そんな必要だったもの、今はセピア色になってしまったものを、しかし後ろめたさは一切出さずに表現してくれている。大人になってからこそ観てほしい、そんな映画であった。

 

 今回でジブリに対しての魅力が俄然増した。他の作品も久々に観てみたい。次はナウシカとかにしようかな?ではー