音楽談義室

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音楽談義 vol.35 毎日Pink Floyd その2『神秘』

 毎日、と言っておきながら初日から断念してすみません。度重なる体調不良です。ちなみに、自粛期間中から見始めたジョジョは3部まで見終わった。3部が傑作と言われる所以がよくわかった。荒木先生の戦闘描写が楽しすぎる。スタープラチナかっこよすぎ。

 

 さて、今日はPink Floydの2ndアルバムであるA Saucerful Of Secrets(邦題:神秘)を解説していく。前回、話題の中心だったシド・バレットはこのアルバムのレコーディング中にLSD過剰摂取で脱退する。このアルバムにもシド・バレットの曲が一曲だけ入っているが、まぁほとんど参加していないと言っていいだろう。音楽性もサイケからプログレ実験音楽へと移り変わっていく。シド・バレットの代わりに入ったギタリストがデビット・ギルモアという人物である。今思うと、よく彼のような逸材をPink Floydは獲得できたなと感じる。シド・バレットのぶっ飛んだ天才性とはベクトルが違うが、ギルモアも素晴らしい才能の持ち主だ。その才能の片鱗を、表題曲である『神秘』によって見ることができる。12分のこの曲は、ギルモアが中心に書いた曲だ。長い曲を書く、所謂大作主義の始まりとも言える。そして、ギルモア自身のギターはアバンギャルドからアコースティックまで多くの振れ幅があり、そんな多彩なギルモアによってPink Floydの音楽は更に加速する。一方で、ベースのロジャー・ウォーターズにも言及したい。彼もA面の多くの曲の作曲を手がけ、そのいずれもが高水準だ。Tr.3の『太陽讃歌』がそのハイライトだろう。素晴らしいソングライティングだ。そして彼ら2人の作曲能力が、後にPink Floydを大きく支えることとなる。シド・バレットの脱退とデビット・ギルモアの加入、ウォーターズのソングライティング、大作主義の始まりとも言える『神秘』、音楽性の変化と、アルバム自体はそのまで評価されないが、そのキャリアに与えた影響は計り知れない。彼らを語る上では欠くことのできない1ページだろう。

 

名盤度:4

おすすめ度:7(この時期を知っておくと後の作品たちへの理解がより深まる)

 

アルバムジャケット

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