音楽談義室

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音楽談義 vol.37 毎日Pink Floyd その4『ウマグマ』

 大学の講義が動画形式で行われているが、これによって一つ感じたことがある。普段の授業の時間が長すぎじゃないかと。一回の動画が30分程度、1.5倍再生すれば20分程度で見ることができる。大体、一人の人間が一回に集中できるのはせいぜい1時間弱が限界なんだし、この際授業時間を短くしてほしい。どう考えても90分授業は長すぎる。講師、生徒共に生産性が低く、誰も得しない。

 

 さて、今回紹介するのは4thアルバムの『Umaguma』(邦題:ウマグマ)だ。このアルバムからようやく世間一般的なPink Floydの様子が窺える。このアルバムは特殊で、一枚目がライブ盤、二枚目がスタジオ盤の二枚組LPとして発売された。まずはディスクごとに紹介していこう。

 

 一枚目はライブ盤。ライブ音源が僅か四曲。しかし、レベルはいずれも高水準。全体を通して1st〜2ndの曲を中心に演奏されている。「スタジオ盤では奇妙な音像だったけれど、実際ライブだとどうなんだろう」と疑問に思う曲たちはライブでも見事である。特にTr.4の『神秘』のライブ音源は流石の聞き応え。ライブ音源だとニックのドラムがより迫ってくる。あまり注目されることの多くない彼のドラムだが、確実にPink Floydの中心を担っている。対照的にギルモアのギターはまだまだ発展途上。この時期でもかっこいいが、今後もっと化けることを知っている後追いのリスナーにとっては物足りなさを感じてしまうかもしれない。

 

 二枚目はスタジオ盤。本格的に実験音楽の様相を呈してきたPink Floydの深淵がそこにある。小さな曲たちが合わさって大きな一曲を構成しているので解説しにくいが、敢えて挙げるとすればTr.3の「Sysphus,Pt.3』と、Tr.4の『Sysphus,Pt4』だろう。1分50秒しかないが打ち付けるような破壊音とともに過ぎ去っていくPt.3は素晴らしい。かと思えば7分と長尺であり、前半の清らかな小鳥の鳴き声から一変し、リチャード・ライトの激しいキーボードの音が鳴り響く後半へと移行していくPt.4も素晴らしい。ようやくPink Floydが2nd、3rdと探し求めていた音像に出会ったアルバムと言えよう。二枚目の構成は個人的にとても高く評価したい。こうして結実した唯一無二のサウンドは、ここから先のPink Floyd黄金時代を支えていくことになる。あ、そうそう言い忘れた。『神秘』、『モア』に引き続き、この『ウマグマ』もヒプノシスがジャケットを手がけている。Pink Floydの多くのアルバムはヒプノシスがジャケットを担当している。

 

名盤度:6

おすすめ度:7

 

アルバムジャケット

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