音楽談義室

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音楽談義 番外編 アート集団、ヒプノシス

  普段は音楽について解説している本ブログだが、今回はいつもとは違った角度から音楽を見ていこうと思う。

 

 ピプノシス

 

をご存知だろうか。60年代〜80年代にかけて活躍したイギリスのアート集団である。主にロックミュージシャンのジャケットのアートワークを手がけ、その独創的なセンスは見たものを一瞬で虜にした。そんな彼らヒプノシスの手がけたジャケットから、厳選して5つ紹介しようと思う。

 

 まずはこれ!

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 Pink FloydAtom Heart Mother(邦題:原子心母)である。広大な草原に牛一匹という破壊力抜群なジャケット。筆者が人生で初めて買ったレコードはこれである。タワーレコードで「なんだこれ!?」と思って買った思い出がある。一見ヘンテコなジャケットだが、A面全部を使った壮大な23分の曲やB面ラストの『アランのサイケデリックブレックファースト』を聴くと、よくできたジャケットだと感じさせられる。聴いた後は「このジャケットしかあり得ない」と言わしめる力がヒプノシスにはある。

 

 お次はこちら

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T-RexのElectric Warrior。ヒプノシスにしては珍しくちゃんとアーティスト名、アルバム名が明記されている。三段積みのアンプの前でギターを演奏しているという一見して捻りの薄いジャケットのようだが、様式美にこだわるグラムロックT-Rexがあえてこのようなシンプルなジャケットにしたということはキャリアの中でもかなり重要なターニングポイントだったと言えるのではないか。

 

 続いてこちら!

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前にもブログで取り上げたWishbone AshのArgus。名盤たる所以は音楽性だけにあらず、と言うべきか、ジャケットもセンスの塊である。曲名も『Throw Down The Sword』(邦題:剣を棄てろ)だったり、とにかく世界観の作り込みが素晴らしい。FF(ファイナルファンタジー)の世界に迷い込んだかのような錯覚さえ感じる。ヒプノシスも彼らの熟した世界観を決して邪魔しないどころか、更に高いレベルまで上げている。個人的にヒプノシスといえば真っ先にこれを思い浮かべる。

 

 続きましてこちら!

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 10ccのDeceptive Bends(邦題:愛ゆえに)。メンバーのエリック・スチュワートはBendsを「標識」という意味でタイトルを決めた。しかし、ヒプノシス側には「その意味のジャケットにはしないでくれ」と伝えており、ヒプノシスはBendsを「潜水病」という意味で捉えてジャケットを作っている。本来の意味とはずれているジャケットのはずなのに、アルバムを聴くと背景の夕日の色がこのアルバムの清涼さに拍車をかける。10ccのコーラスワークが素晴らしい、名盤だ。

 

 最後はこちら!

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 Black SabbathのTechnical Ecstasy。今までのサバスとはジャケットの時点で雰囲気が大きく違う。音楽性もそれまでとは全く異なり、80年代メタルに通じるようなギラついたギターの鳴り響く様子だ。かと思ったらアコースティックギターとピアノによるバラードや、電子音的なアプローチもある。「こんなのサバスじゃない」と怒るファンも当時はいたようだ。ファンの中では賛否あるアルバムだが、個人的には大好きな一枚。ヒプノシスのジャケットもそれまでのおどろおどろしいパブリックイメージから一転し、革新的な様相を呈している。

 

 今回は普段とは別の角度から音楽を語ってみた。ヒプノシスは他にもYesの『Going For The One』(邦題:究極)や、Wingsの『Band On The Run』や、Bad Campanyの『Bad Campany』や、Led Zeppelinの『Houses Of The Holy』(邦題:聖なる館)など、多種多様なジャケットを手がけている。日本では松任谷由美のジャケットもいくつか手がけている。興味があったら「ヒプノシス ジャケット」と調べてみると、たくさん見ることができる。幻想的なヒプノシスのジャケットは見るだけでも楽しい。そんなわけで今日はこの辺で。最近お腹痛かったり、下痢気味だったり、微熱気味だったり、インドアでぼっちな筆者だが一切外出できないのもそれはそれで辛いと感じ始めた。