音楽談義 vol.5 The Whoの叶わなかった夢
カッティングが上手くできない。難しい。ミュートは出来るんだけど、コードフォームを保ちながら特定の弦だけ鳴らすのが難しい。時々入る空振りが更に難しくしている。
どうもどうも。今日も日本人の1%もわからない音楽談義を。今日のメインテーマはThe Whoというロックバンド。僕が初めて聞いた洋楽のバンドだ。四人組のバンドだが、とにかく四人ともキャラが濃い。前のめりになって客を煽るボーカルのロジャー・ダルトリー、右手をぐるぐる振って掻き鳴らし、公演後にギターを破壊するギターのピート・タウンゼント、他三人が荒れ狂う中、一人静かに弾くが、音は一番強烈なベースのジョン・エントウイッスル、ハイハットを使わない、楽譜を覗くとフィルだらけのドラムのキース・ムーン。際立ったキャラの四人だ。そんな四人には、未完となったアルバムがあることはご存知だろうか?
「Life House」
彼らの傑作はロック・オペラというジャンルのものである。その名の通りロック版のオペラだ。一枚のアルバムに明確なストーリー性を持つ。彼らはTommy、四重人格という二作のロックオペラを作った。Life HouseというアルバムはTommyと四重人格の間に作成されたアルバムだ。このアルバムの規模は大きかった。単なるロックアルバムにはとどまらない。実際にオペラをやる企画だってあったし、聴覚だけでなく視覚嗅覚触覚味覚をフル稼働して産み出された巨大プロジェクトになるはずだった。そう、はず「だった」。このプロジェクトは未完に終わる。あまりにも大きすぎるプロジェクトだったが故であった。未曾有の大きさのプロジェクトの全貌が見えていたのは、コンポーザーのピート・タウンゼントだけだったのかもしれない。もしかしたらピート本人でさえ把握出来ていなかったのかもしれない。その位膨大だったのだ。その残骸で出来たアルバムが
Who's Next
である。このアルバムはThe Whoの最高傑作と称されることも多い。逆に考えると、未完成プロジェクトの欠片をつぎはぎしたアルバムが最高傑作なのだから、完成していたら、Pink FloydのThe Dark Side of The moonさえしのぐ、とんでもないモンスターアルバムになっていただろう。ここで三曲程紹介しよう。
本当はlifehouseに入る予定だったlet's see action。この曲はWho's nextには入っていないので、ピートのデモしか残っていない。にしても完成度高いなぁ。これでデモかよ…
ベースのジョンが歌う、一風変わった曲。意外とこれがWho's nextで一番好きかも。ジョンのボーカルって触れられることが滅多にないんだけど、いい味出しているんよね。
lifehouseのクライマックスに用意されていた曲。Who's nextでもラストに置かれた。当時はシンセなんてほとんどなかったのによくこんな曲書いたよなぁ。それもプログレ畑のキース・エマーソンとかならいざ知らず、普段荒々しいステージワークで沸かせていたピート・タウンゼントであることは大きな衝撃だろう。
こんな感じで歴史的名盤になる「はずだった」lifehouseについて取り上げた。いつか自分でバンドを組んで、lifehouseを完成させるのが一つの目標でもある。ピートの残した音源にはそれほどの価値があるのだ。